さて、そうした経緯で伏黒は遺体を持ち帰ることに断固反対する。
ただ下記のようなやり取りが発生する。
「オマエは大勢の人間を助け、正しい死に導くことに拘っているな。だが自分が助けた人間が将来人を殺したらどうする」
「じゃあなんで俺は助けたんだよ」
Ⓒ『呪術廻戦』1巻 第6話「呪胎戴天」
ここでは呪霊が現れたためここでのやりとりは一時中断となる。
まず伏黒の死生観についてであるが、「トロッコ問題」の要素が強い。
つまり、「目の前の1人を救うか」「目の前の人物が将来罪を犯す可能性を考えて見捨てるか(=大勢を救う)」という哲学的な思考が入る。
虎杖はとにかく大勢を救いたいという気持ちを持っており、前者よりの考えだ。
(もっともトロッコ問題を無視して全員救おうとするのが虎杖だと思うが)
一方の伏黒は後者の考え方をしている。すなわち「助ける人物を選ぶ」というスタンスをしている。
つまり将来人を殺めるかもしれない悪人は救うに値しないという価値観をもっている。
ただ虎杖自身に突っ込まれたように「なぜ虎杖を助けたのか」という部分が重要になる。
「過去に罪を犯し、今後も罪を重ねるであろう人物」を助けることに反対した伏黒である。
そんななか「呪いの王」たる両面宿儺を受肉させ、秘匿死刑を宣告されるまでの危険人物である虎杖を助けたことは今回の発言と矛盾する。
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