術師と術式
ここまででは術師にとって一番重要な能力は術式であると説明してきた。
つまり強い術式があれば術師として上位に食い込む可能性があるが、逆に術式が弱ければ呪術師として大成しない可能性が高いということだ。
例えば禪院直毘人や禪院直哉が持つ「投射呪法」は術式としてかなり強力である。
作った動きをトレースすることでスピードを出せるだけでなく、相手の動きを制限することも可能だ。
五条悟を除き「最速」であったことを考えると術式そのものも強力であったといえる。
あるいは秤金次の「座殺博徒」は大当たりを引く豪運を求められるが、大当たりを引いてしまえば4分11秒の間は不死身状態になる。
真希が否定してはいるものの「ノッて時は僕より強いよ」と言わしめるだけある。
このように1級術師たちは術式を前提に戦闘を行っている。
そのなかでも自らの術式に苦しんだ術師がいる。
「黒鳥操術」の術式を持つ冥冥である。
渋谷事変での一幕で彼女は次のように話している。
「知ってるよね?私の術式。
”烏を操る” それだけだよ。弱いよね
だから若い時は必死に鍛えたよ。術式なしでも戦えるようにね」
~中略~
「自分に言い聞かせた。術師の真価は術式ではないと。でもね限界がきたんだ。
身体能力も呪力による肉体強化も延々と向上するわけではない。
挫けたさ。挫けたからこそ再び自らの術式と向き合うことで
私は1級術師として花開いたのさ」
『呪術廻戦』12巻 第98話「渋谷事変⑯」
冥冥も術式に頼らない戦い方を模索し続けたが、決してうまくはいかなかった。
そこで再度術式と向き合うことで「神風」という特出した技を生み出すに至った。
五条悟を除いて防いだことがある人間はいない、とのことなのであたりさえすれば必殺の技であるだろう。
つまり1級術師として求められる条件は、いかに強い術式を保持しているのかというところであるといえる。
特殊な例ではあるが、日車寛見もその一人であろう。
日車が1級術師相当まで成長したのも術式が強力であったからだ。
一般的な術師は呪力の核心→術式の解明→結界術への理解→領域展開というステップを踏む。
対して日車は術式にデフォルトで領域が備わっていた。
そのため通常とは逆の、領域展開→結界術への理解→術式の解明→呪力の核心という手順を踏んでいる。
この逆算方式による呪力への理解ができたからこそ、日車はたった12日間で1級術師レベルまで成長している。
これも日車が持っている術式が強力であるからこそ成しえたことだ。
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