2つ目に『呪術廻戦』という作品自体、陰陽師との親和性が高いということだ。
ここで長々と綴ることはしないが、陰陽師という存在について少しだけ解説しよう。
本来、陰陽師というのは律令制度における中務省、その中の陰陽寮というところに所属していた官僚という立場であった。
当時の最先端技術を誇る中国から情報やモノを輸入し、天文や暦といった学問を発展させてきた。
しかし、日本ではそれらの技術を応用した占いという文化へ推移していく。
国家を襲う天変地異や政治・経済の滞り、怨霊という概念が生まれ、陰陽道は災厄の原因究明として使用されるようになる。
そして陰陽師はいつしか占いすら超え、国家や個人に降りかかる”呪い”を振り払う人物へと変貌を遂げた。
呪術というものの元を辿ると陰陽師に行きつくのである。
このように蘆屋道満が勤めていた陰陽師という役割は呪術というワードとの親和性を感じられる。
最後に、『呪術廻戦』という作品の根幹には史実がベースとなっているということである。
例えば御三家であればそれぞれモチーフとなっている家系や人物がいる。
五条家は菅原道真を祖先としている。
また禪院家は「禪院家に非ずんば呪術師に非ず、呪術師に非ずんば人に非ず」という格言があるが、これは「平家にあらずんば人にあらず」という『平家物語』の平時忠の言葉をオマージュしているのは間違いない。
そして加茂家についても賀茂保憲を代表とし、安倍晴明を代表する安倍家と並ぶ二大陰陽師の血筋である賀茂家を題材にしていることは言うまでもないだろう。
それぞれが平安時代ということもあり、かなり忠実に史実をモデルに構成されているという特徴がある。
ただこうして史実をベースとするのであれば、陰陽師の代表格である安倍晴明と蘆屋道満はもちろん登場すると考えている。
以上の3つの理由から虎杖悠仁の先祖は蘆屋道満ではないかと考えている。
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