【第2回ワールドトリガーのここが面白い】「緊急脱出（ベイルアウト）という仕組みと解説」【考察】

2．条件の明確化

　次に条件の明確化である。

　スポーツ漫画と比べてバトル漫画における決着の判断は難しいと個人的には思う。

　それは明確な勝利・敗北の規定がないからだ。

　例えば『ワンピース』であればデービーバックファイト、『僕のヒーローアカデミア』でのヒーロー試験、『家庭教師ヒットマンリボーン』であればチョイスなど勝敗がはっきりとわかるゲーム形式でのバトルもある。

　しかしこれらの例はあくまでも作品のうちのいち競技でしかなく、通常のバトルは最後まで立っていた方が勝者であり、こうしたら勝ちという条件はない。

　対して『ワールドトリガー』ではトリオン体という特殊な肉体で戦闘を行う。

　先述した通り「トリオン伝達脳」「トリオン供給機関」のどちらかが破壊されることで緊急脱出ベイルアウトし、戦線を離脱する。

　あるいはトリオン漏出が甚大な場合にも緊急脱出ベイルアウトが発生する。

　さらに一度緊急脱出（ベイルアウト）した場合には、一定時間が経過するまでトリオン体への換装ができないので戦闘への不参加が確定する。

　つまり緊急脱出ベイルアウトが勝利条件であり敗北条件であるのだ。

　条件がはっきりしているということで戦術が生きてくる場面が多くある。

　そこで緊急脱出ベイルアウトを生かした戦術について見ていこうと思う。