そのため狙撃手は位置がバレた時点で次のうちのどれかを選択しなくてはならない。
① バックワームを起動するなどし、狙撃地点を変更する。
② 不可能になる距離に来るまでに緊急脱出(ベイルアウト)を実行する
③ 近づいてくる距離までに撃ち落とす
敵部隊と距離がある場合には①の狙撃場所を変更するということも可能だ。
しかしある程度の距離が近いのであれば狙撃手を落としに向かうため、②か③のどちらかを選ぶしかなくなる。
この駆け引きがみられるのも緊急脱出という仕組みがあるからこそと言っていい。
例えばラウンド2(玉狛第二・来馬隊・那須隊)が印象的である。
空閑・村上・熊谷の近距離攻撃手が三つ巴の戦いをする中、日浦が狙撃手としていることで空閑・村上はかなりのプレッシャーをかけられていた。
空閑が浮いた瞬間を狙うも狙撃は躱されてしまう。
そこで空閑は距離を詰め、日浦のポイントを獲りに向かう。
日浦は緊急脱出をする・近づく前に落とすという2つの選択肢を与えられる。
日浦が引っ越すことが決まり、那須隊にとっては今回のランク戦が最後のシーズン。
何としてでも過去最高の順位をとりたいという思いもあり、日浦は緊急脱出をせず戦うという道を選ぶ。
もちろん隠し玉の炸裂弾を放ち空閑を誘導するも、一枚上手だった空閑にやられてしまう。
結果でみると日浦は敗れてしまうが、このように緊急脱出があるおかげで戦術の幅が広がることもある。
まとめ
今回は緊急脱出(ベイルアウト)というテーマで『ワールドトリガー』という作品を掘り下げてみたがいかがだっただろう?
流血がほとんど見られないバトル漫画というのも珍しいし、安全に戦線を離脱できるという点もあまり見られない。
これはもちろんトリオン体という変身過程を経ているからではあるが、緊急脱出という安全性の担保があるからこそ、本来危険であるボーダーの任務に学生層がメインであるという違和感を解消できているといえる。
またトリオン体において勝利・敗北条件(「トリオン伝達脳」「トリオン供給機関」の破壊、またはトリオン漏出)がはっきりし、緊急脱出という制度があるからこそ戦術の幅が広がっている。
特にランク戦においてはこの仕組みを使った駆け引きが多くみられるというのも面白いポイントである。
こうした視点からでも『ワールドトリガー』の面白さに触れて欲しいなと思む次第である。
それではまた次回の記事↓「三雲修の成長①~戦闘編~」で!
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