vs モールモッド
第3話ではオサムや空閑が通う中学校に門が開き、そこから現れたモールモッドが暴れだす。
前回同様、さっそくトリガーを起動し生徒たちを助けようと体が動くオサムであったが、空閑がそれを阻止する。
「オサムの腕じゃ死ぬぞ?」
「だからって放っておけるか!!」
「……いやもう一回言うけどオサム死ぬぞ?」
『ワールドトリガー』1巻 第4話「三雲修②」 作:葦原大介
これまでの空閑の言動や描写、そして戦闘能力の高さから空閑の発言は嘘や出まかせではなく、オサムの身を案じていたものだと理解することができていた。
ただそれを分かったうえででもオサムはボーダーが駆けつける時間稼ぎのため、自らの命を賭けるという選択をする。
ただ空閑が助言した通り、文字通り秒殺。
何もできることがないままトリオン体が破壊され、忠告通りの死を覚悟する。
ただバムスター戦同様、オサムを見捨てきれなかった空閑は助けに駆けつける。
しかしボーダーに目をつけられてしまうという理由から、オサムは空閑のトリガー使用を禁じていた。
そんな中で、空閑はオサムのトリガーを使用するということでオサムの言いつけを守る。
あっさりと空閑はモールモッド2体を撃破することに成功してしまう。
ここで描かれるものは「空閑の特別感」と「オサムの凡人っぷり」である。
この部分については第1回の記事「バトルにおける不自由さ」でも触れている部分だ。
まず1点目として、オサムのトリガーが訓練用という点である。
訓練用トリガーということで、おそらく耐久力や攻撃力が通常のトリガーより弱く設定されていることが推測できる。
第1話にてバムスターに立ち向かったオサムに対して、レプリカからは「出力が足りていない」と指摘されていた。
トリガー自体の性能にも問題があるといえるだろう。
また訓練用トリガーを使用していることは、オサムが正隊員としての実力を身に付けていない訓練生ということだ。
ボーダーからも実力を評価されていない新米であることがわかり、作中での絶対評価としても強くはない部類であることがはっきりわかる。
つまり空閑が強すぎるということもあるが、オサム自身もきちんと弱い部類に位置する。
2点目に空閑が訓練用トリガーを使用してモールモッドを2体も撃破してしまうという事実だ。
オサムが全く持って歯が立たなかった相手に、空閑は快勝する。
第1話のバムスター戦でも確かにオサムと空閑の差が現れてはいた。
しかし今回は同じトリガーを使用することで対照実験的な役割を果たし、読者としてはより明確な差を感じられるようになった。
この差について、レプリカは「トリオン性能の差」を指摘している。
トリオン性能は生まれ持った素質であり、高い性能を持つと出力などに大きく関わっており、その部分でオサムが負けていると指摘されていた。
つまり「トリガーを使用する」ということに関しては才能がない部類であるということだ。
ただトリオン性能の差だけで負けているわけではなく、空閑からは「オサムが弱いのはそれだけじゃないけどな」と釘を刺されている。
訓練用トリガーで勝ってしまう・A級からの評価を受けて「空閑の非凡っぷり」が強調される。
一方でオサムは訓練生という事実やトリオン性能の弱さ、そして戦闘能力の低さを指摘される「オサムの凡人っぷり」がはっきりと表れていた。
まとめ
バムスター戦・モールモッド戦では注目されていたことは、ここでは詳しく書かないがオサムの正義感の強さと、空閑の特別な戦闘能力の高さであった。
ただオサムの戦闘能力については特に取り上げるべきところがないくらい、ボロボロで悲惨な結果であった。
ただそれは訓練生であるということからもはっきりわかり、空閑やA級の戦闘能力と比べると拙いモノであった。
近界民相手に大きなダメージを与えることはできず、回避や防御という部分でも機能せず、一方的な結果に終わっている。
ただ戦闘における成長という観点から考えると伸びしろしか感じない内容である。
オサムの成長が描かれるのは次のB級昇格後であるため、こちらもぜひご覧ください。
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