【第2回ワールドトリガーのここが面白い】「緊急脱出(ベイルアウト)という仕組みと解説」【考察】

マンガ

「待つ」という戦い方

 緊急脱出ベイルアウトという仕組みがあるため、「待つ」という戦い方ができるという点も面白い。

 その一例がラウンド2:玉狛第2隊・那須隊・来馬隊での戦いである。

 戦いの終盤にて那須と来馬、オサムの三者が混戦を極める中で那須がついに来馬を倒す。

 来馬の攻撃に便乗するオサムはそこで那須を倒そうと試みるも、次の策を用意していた那須によって返り討ちにあう。

 オサムは負けてしまうものの、予め想定していた負けというところが肝である。

 来馬が敗北した時点で那須はすでにかなり手負い。

 トリオン漏出が激しく、時間がたてば勝てるという状況であった。

 空閑・チカがいるため生存点が入るのは間違いなく、そのうえでポイントを獲ろうという強欲っぷりをみせる。

「三雲の狙いは最初っから那須のトリオン切れだったわけか。

 雨取を逃がして全滅の危険性を減らしたうえで、

 自分は欲張ってもう1点を獲りに行った」

『ワールドトリガー』第12巻 第102話「那須玲」 著:葦原大介 

 こうした待つことで勝つという戦略がとれるのも他のバトル漫画ではなかなか見ることができない特徴だといえる。


「特攻」という戦い方

 また自分の犠牲を顧みない特攻ができるというのも特徴的だ。

 その代表例がラウンド8:(玉狛第2・弓場隊・生駒隊・二宮隊)におけるヒュースの立ち回りである。

 ラウンド8にて、玉狛第2のオサム・空閑・チカは早々に合流できたが、転送位置に恵まれなかったヒュースは序盤から苦しい展開になる。

 3チーム・計7人に囲まれ攻撃の的となってしまったヒュースは何とか時間を稼ごうとするが、じりじりと削られ続けてしまう。

 そこでチカの炸裂弾メテオラを自身に向かって放つという策を提案する。

 緊急脱出ベイルアウトという仕組みがあるからこそ、ケガや自死というを気にせず思い切った行動ができると言っていいだろう。

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